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安藤周人、合田怜、松島良豪、遠藤祐亮…今季Bリーグで大きく成長した選手たち

2019 5/24 11:00SPAIA編集部
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Most Impressive Playerと Most Improve Player

今季、Bリーグで新設されたMIP賞――最も印象に残った選手(Most Impressive Player)に新潟アルビレックスBBの#3柏木真介、#7五十嵐圭が選出された。コート内外でのチームへの影響力、プロとしての姿勢を考えるとまさに印象的な2選手が選ばれた。

実はバスケットの最高峰リーグNBAにもMIP賞はあるが、こちらの“I”は“Improve”で昨年の成績と比較して「最も成長した選手」に与えられる賞となっている。

この記事ではNBAの“MIP”に則り、今季のBリーグで大きな成長を遂げた選手を見ていく。

日本人3位の平均得点を挙げた安藤は名古屋Dのエースに

日本人選手の中で、前年に比べて最も平均得点を上げたのは名古屋ダイヤモンドドルフィンズの#9安藤周人だ。今季は全60試合に出場し、平均得点は8点から14.6点に。6点以上をアップさせて、チームのエースになるまでに成長した。

シーズンを振り返れば序盤から得意の3Pシュートを武器に得点を積み重ね、最終的には約4割以上が3Pシュートでの得点に。マークが厳しくなった後半以降は3Pラインよりも内側での得点も増加。身体能力の高さを生かしたドライブやフェイクをおり込んだジャンプシュートなど得点手段も豊富だった。

さらには後半30試合のアシスト数も平均3.2本と、シーズン平均2.7本ということを考えればシーズンを戦っていくにつれて相手のディフェンスにアジャストしていったことが分かる。

それらのプレーが認められ、シーズンベスト5の得票数では6位とベスト5入りにあと一歩まで迫った。今年で25歳とまだ若く、2020年の東京オリンピック後の日本代表のシューターとして期待される若手のホープだ。

ケガに泣いたものの来季の活躍が期待される2選手

チームは苦戦を強いられたものの、大阪エヴェッサとレバンガ北海道にも期待の選手が登場した。

大阪は#20合田怜が苦戦するチームの序盤戦を引っ張った。元々攻撃力の高い選手だったが、大阪に入団後は#17木下博之らガードの層が厚かったこと、またPGとSG、どちらの起用かが明確でなかったため出場時間は少なかった。

その中で今季は穂坂健祐ヘッドコーチが就任すると、SGでの起用が増加。コンスタントに得点を挙げ、 32試合中12試合で2桁得点を挙げた。しかしその出場試合の少なさが示しているようにケガに苦しんだ合田。12月以降は2度も左足首のケガを負い、復帰後は試合勘が戻らず成績も下降。来季の復活が待たれるところだ。

北海道からはムードメーカーの#32松島良豪を挙げたい。昨季までの平均出場時間は11.9と#8多嶋朝飛の控えガードという位置付けだったが、今季途中まで指揮を執ったジョゼ・ネト前ヘッドコーチの方針で、多嶋との2ガード起用が増加。出場時間を23.2と前年の倍以上伸ばし、その分個人成績も飛躍的に向上した。

最も顕著だったのがアシストで、2.8本から6.3本にアップ。昨年12月27日の千葉ジェッツ戦ではBリーグ記録となる1試合18本のアシストを記録するなど、途中までアシストランキングのトップを走った。

だがこちらもケガのため、2月3日以降は出場試合はなし。左足首の負傷がなかなか癒えず、無念のシーズンアウトとなった。

来季は内海知秀ヘッドコーチがシーズン初めから指揮を執ることが決まったが、存分に自身の魅力を発揮できるかが注目だ。

育成チームからベスト5へ 毎年数字を伸ばす栃木・遠藤

昨季から今季の成長曲線ではなく年々成長を続けた選手を最後に紹介したい。

栃木ブレックス#9遠藤祐亮は今季、2年ぶりにベストディフェンダー賞に選ばれたほか、ベスト5も受賞した。この遠藤、大東文化大卒業後はかつて栃木の下部組織として存在したTGI・Dライズに入団。すぐにトップチームの栃木に昇格したものの、分厚い選手層に阻まれ、2シーズンはローテーションに入れない日々が続いた。

転機となったのはトーマス・ウィスマン氏(現横浜ビー・コルセアーズヘッドコーチ)が就任した2014−15シーズン。指揮官にディフェンス力が認められ、出場機会を徐々に伸ばしていくと、Bリーグとなった2016−17シーズンからはスタメンに完全に定着。そこから攻撃力もアップし、ルーキーシーズンからの平均得点は2.3、3.6、4.4、4.8、7.6、8.2と数字を伸ばし、ついに今季は11.7得点と2桁に乗せた。

分布的にはペイント外の得点率が42.6%、ペイント内44%と、外角シュートだけに頼ることなく、速攻やドライブなどペイント内でも得点を挙げた。

主要な成績には表れないものの、ディフェンスでの貢献度も素晴らしく相手のエースを幾度となく苦しめた。ある選手がコート上でいかにチームに貢献したかが分かる数字として、得点の増減を示す「+/−」があるが、遠藤が「−」だった試合は53試合中僅か13試合。つまり遠藤がコートに立った時間は点差を離していることが多く、チームへの貢献度は主要数字では計れないものだった。

こうして年々成長を遂げてベスト5を受賞したことは、これからプロを目指す選手の“鑑”となる存在であり、学生時代にエリートでなくともトップリーグで活躍できることを証明した。