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3x3男子日本代表第4次強化合宿「メダル獲得はミッションポシブル」

3x3男子日本代表_円陣Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

「何か突出した選手を求めたいが組み合わせも重要」ロイブルコーチ

2019年度3x3男子日本代表第4次強化合宿が3日間の日程で行われた。今回招集された選手は以下の通り。

ブラウン アイラ (F / 大阪エヴェッサ)
小松 昌弘 (F / TOKYO DIME.EXE)
落合 知也 (F / 越谷アルファーズ / TOKYO DIME.EXE)
小林 大祐 (G / 茨城ロボッツ / UTSUNOMIYA BREX.EXE)
永吉 佑也 (F / 京都ハンナリーズ / KYOTO BB.EXE)
藤高 宗一郎 (F / 大阪エヴェッサ / EVESSA.EXE)
橋本 拓哉 (G / 大阪エヴェッサ)
保岡 龍斗 (G / 秋田ノーザンハピネッツ / SEKAIE.EXE)
杉浦 佑成 (F / サンロッカーズ渋谷 / TACHIKAWA DICE.EXE)
西野 曜 (F / 専修大学 3年 / BEEFMAN.EXE)

11月に行われた第3次合宿と同じ顔触れとなった。前日までBリーグで試合をした選手もいたが、合宿の初日にもかかわらず軽快な動きを見せていた。途中、3人制ならではの動きやルールの確認をする場面もあり、3人制の動きに適応できるような工夫も見られた。

男子は既にオリンピック出場権を確保している為、これから本大会に向けて代表入りをかけた争いが待っている。

ロイブル・トーステンコーチⒸマンティー・チダ

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「本大会まであと200日で時間もあまりない。オリンピックという機会をもらえるのはこの中の数名ですが、その機会が来てから準備するのでは遅すぎるので、誰が出ても戦える様に準備をしているということです。ここにいる10人の選手がコアになりますが、3x3を国内でやっている選手がたくさんいます。ある程度フェアに見てあげたいです」

ロイブル・トーステンコーチは、選手選考に頭を悩ませていた。今回は5人制を主戦としている選手を中心に招集しているが、3人制を主戦としている選手にも目を配ることを明言する。

「セルビアやラトビアのように、2m前後の選手を全員揃えて、全部オールラウンドで出来る選手を揃えるという事はしないし、できません。シュート力がすごい、スラッシュ能力がすごい、シールがすごくうまいというように何かに突出した選手を求めています」

※シールとは、オフェンスがポストアップする時に、ディフェンスの前に出て背中と腕と腿を密着させて、ディフェンダーが前にでてくるのを防ぐプレーのこと。

ただ、ベストの選手をすべて揃えることには否定的な考えを示した。「ベストの選手を全部揃えば、強いチームができるのかと言われればそうではない。コンビネーションを重視した選考も加味する必要がある。特に3x3においては3人しかいないので、ツーメンゲームやスリーメンゲーム、如何にそれを賢く使えるが重要な事。運動能力がすごいということだけで選出することはしません」

そして、3x3は「経験が非常に重要」とロイブルコーチは話す。「3x3を本職にしているランキング日本人トップ10にも目を向けて、全員に公平な機会を与えた上で選んだということを世間の方にもご理解を頂きたい」と強調した。

チームジャパンとして世界とどう戦うのか

これから本大会を見据える上で、ランキング日本人トップ10に位置する選手とそうで無い選手に分けて考えた方が良いだろう。後者に属する中で、ブラウンと永吉に心境を聞いてみた。

ブラウンアイラ_永吉佑也Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ

第3次代表合宿から続けて参加するブラウンは、囲み取材の中で「最大限の努力」「熟成したワイン」という言葉を使って、自分自身を表現していた。練習においても、身体能力の高さから繰り出される迫力あるダンクを披露するなど、ゴール下にフリーで入っていけば誰も止められない。

前回の合宿に参加してから、5人制の所属先であるBリーグ大阪も上昇カーブを描いていた。大阪からは他にも藤高と橋本が名を連ねている。「3人とも切磋琢磨している。その前から同じパフォーマンスをする選手もいれば、これをきっかけに状態が良くなった選手もいます。モチベーションはみんな一緒で、そういう意味で大阪のチーム力は上がったと思います」

ブラウンは、3人制の合宿参加が大阪に好影響をもたらしたことを明かした。「関西のスポンサーにも注目してもらいたい、チームジャパンとして」と関西からバスケットボールがもっと盛り上がることを願っていた。

今後の選考に関しては「チームジャパンとしてどうするのか」が大事だとした。「永吉選手ら他の選手が自分より上に見られたら応援する立場になるかもしれないし、自分が選ばれたらみんな自分の事を応援してくれると信じています。そういった意味でチームジャパンとして機能する事が大事だと思いますし、一番の成長する機会ではと思います。誰もがもらえる機会ではないと思っています。自身のことについては選ばれた段階で話します」と自身については回答を控えた。

ブラウンらと代表争いをする永吉は「まずはシステムに慣れる事を意識したい」とした。合宿で初めて知るルールもあり「まだ自分の中では浸透しきっていない」と課題を明かした。

「合宿終わった後にBリーグの試合では、自分がタフになって帰ってきているなと実感しています」と永吉は3人制の合宿参加を経て、手応えを感じている。

そして代表争いに関しては「アイラとかとやれる状況になれば、評価されてくるのかなと思います。バチバチすることは、自分にとってもアイラにとっても良いことだと。最後はコーチの判断ですが、自分自身が全身全霊を尽くして、この合宿をこなすことが大事だと思います」と全力で臨むことを誓った。

いずれにしても、チームジャパンとして世界とどう戦っていくのか。まずはここをしっかり突き詰めていくようだ。ロイブルコーチは「メダルを目指す」と明確な目標を示す。「多くの人は不可能と思っているかもしれませんが、私はミッションインポッシブルではなくて、ミッションポシブルだと思っています」

ランキング日本人トップ10に入っている、入っていないことを踏まえた上で、ロイブルコーチが描くデザインに合った選手が選ばれるのは間違いないようだ。