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八村塁がNBAプレーオフで成長証明、次は東京五輪で波乱を呼ぶか

2021 6/7 11:00田村崇仁
ウィザーズの八村塁Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2年目はPO進出で5戦連続2ケタ得点「大きな一歩」

米プロバスケットボールNBAウィザーズの八村塁が6月3日、日本選手として初出場したプレーオフ(PO)の1回戦でセブンティシクサーズ(76ers)に1勝4敗で敗退し、プロ2年目のシーズンを終えた。

背水の陣で臨んだ第5戦は先発出場して5戦連続2ケタとなるPO自己最多の21得点、6リバウンドをマーク。しかし東カンファレンスの第1シードの難敵に112―129で敗れ、チームの公式ツイッターを通じて「これからの僕のバスケ人生において、大きな一歩だった」と総括した。

レギュラーシーズンで1試合平均13.8得点、5.5リバウンド。プレーオフではそれを上回る平均14.8得点、7.2リバウンドをマーク。特にPOで3点シュート成功率は60%と高く、目を見張る成長を証明した。ウィザーズのブルックス監督は「初のプレーオフで、レギュラーシーズンよりもいい成績を残す選手はそんなにいない」と八村の2年目を高く評価している。

波乱の幕開け、POの3点シュート成功率は6割

今季の八村は流行性角結膜炎のため開幕に間に合わず、波乱の幕開けだった。1月中旬にはリーグの新型コロナウイルス感染防止規定の対象となり欠場。前半は苦しい時期が続いたが、後半に入って4月中旬には2001年以来の8連勝で一気に先を行くライバルとの差を縮めた。

守備面でもスピード向上と理解が深まり、相手のエース格とマッチアップする機会が増えて堂々と体を張ったプレーをアピール。PO第4戦でも20得点、13リバウンドでチームの初勝利に貢献した。

特に課題の3点シュートはオフの猛練習が実り、積極性と意識の強さが加わってレギュラーシーズンでも成功率が32.8%と1年目の28.7%より大幅に向上。「インテンシティー(激しさ)やフィジカルはシーズンと違った」と語ったPOでも相手の厳しいマークをかいくぐり、15本放って9本入れる高度なシュート技術を見せた。

次は日本男子が45年ぶり出場の東京五輪へ

次は今夏の東京五輪が大きな目標となる。

1976年モントリオール五輪以来45年ぶり7度目の出場となる日本の男子は1次リーグの組み合わせで強豪のスペイン、アルゼンチン、最終予選を勝ち上がったチームと同じC組。男女とも12チームが3組に分かれ、各組上位2チームと各組3位のうち2チームが準々決勝に進む。

西アフリカのベナン出身の父と日本人の母の間に生まれ、宮城・明成高から米ゴンザガ大を経て、2019年6月のNBAドラフトで1巡目9位指名を受けた23歳の八村は五輪への思いも強い。

国を代表する気概は「八村モデル」のシューズにも込められる。日本刀と漢字の「八」を組み合わせたオリジナルロゴの名は「Black Samurai」。厳しい競争の中、自身のルーツへの誇りを胸に闘う覚悟だ。

NBAではラプターズと本契約を結んだ同志の渡辺雄太の存在も大きい。史上最強の呼び声が高い日本が東京五輪でも大暴れする予感が漂う。

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