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ヤクルト最下位脱出へ、いざ後半戦 前半戦で見えた野手陣のポジティブ要素

2019 7/15 07:00勝田聡
ヤクルトのホープ村上宗隆ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

村上宗隆が20発

ヤクルトは前半戦を最下位で折り返した。小川泰弘(3勝8敗)、原樹理(3勝7敗)、デービッド・ブキャナン(1勝5敗)といった、本来は柱とならなければいけない先発投手陣がそろって負け越し。試合をつくることができないケースが多かった。

一方、野手陣では明るい兆しがあった。なんといっても村上宗隆である。高卒2年目の19歳は開幕から全試合に出場し、すでに松井秀喜氏以来となる20号本塁打に到達している。

また、63打点はリーグトップの数字でもある。ただし、103三振はリーグワーストであり唯一の3桁台だ。また、12失策もワースト2位。改善しなければならない点は多い。

だが、このようなネガティブな数字があったとしても首脳陣の期待は大きい。打率が1割台にでもならない限り、起用は続くはずだ。またファンからの期待も同様に大きい。それは、オールスターゲームにファン投票で選出されたことからもうかがい知れる。

荒削りな面を加味しても村上の成長過程を見たい。こんなにもワクワクさせてくれるような存在が現れたのは、ヤクルトにとっては山田哲人以来ではないだろうか。

荒木貴裕と雄平が代打の切り札に

その他には「代打の切り札」が「右の荒木貴裕」と「左の雄平」で決まったことも大きい。荒木は前半戦までに39回の起用があり、打率.371(35打数13安打)、1本塁打、10打点と切り札としての役割を果たしてきた。

一方の雄平は10回の起用で打率.500(10打数5安打)、2打点と集中力をいかんなく発揮している。また、昨シーズンも打率.778(9打数7安打)と結果を残しており、代打の適性はありそうだ。 もちろん、荒木も雄平も代打の切り札としてではなく、レギュラーとしてスタメンで試合に出場したい思いは強いはず。

しかし、村上や中山翔太、廣岡大志といった次世代を担うであろう選手たちが台頭している。スタメンで出場する機会は減ったが、そんな中でも腐ることなどなく、ひと振りにかける代打として結果を残しているのはチームにとっても大きいこと。

試合終盤のチャンスで2人の登場曲が流れると、神宮球場のボルテージは上がり、歓声もひときわ大きくなる。これは、ファンからの信頼も得ている証しだろう。

控え内野手の底上げ

コンディション不良で戦列から離れていた西浦直亨が7月8日の試合から復帰した。小川淳司監督は西浦不在時に太田健吾、奥村展征そして廣岡大志をスタメンに起用。若手にチャンスを与えたのである。

しかし、誰一人として目を引く成績を残すことができず、西浦が復帰と同時にスタメンに。 誰もポジションを勝ち取れなかったのは事実だが、この期間に積んだ経験は財産となるはず。あたりまえのことではあるが、同じ選手がポジションを固定され、数年に渡って試合に出続けると次世代の育成が遅れてしまう。多くのチームで確固たる主力の後釜探しに、苦労していることからもよくわかるだろう。

もちろん、西浦の離脱は痛かった。しかし、「チームの底上げになった」とプラスに捉えることもできる。代打における荒木や雄平もそうだが、経験のある選手が控えにいると心強い。

ヤクルトは前半戦で苦しみながらも、村上を開花させつつあり、代打の切り札が決まった。さらには、控え内野手の経験値も大きく上がった。ただ負けていただけではないのである。

後半戦ではどのような戦いぶりを見せてくれるのだろうか。前半戦最下位からの逆襲に期待したい。

※数字は2019年7月10日終了時点