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ロッテ・藤岡裕大は後半戦のキーマン 「攻守」だけでなく「走」にも期待

2019 6/25 07:00浜田哲男
藤岡裕大ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

復帰後は打撃好調

2年連続で遊撃手として開幕スタメンの座をつかんだものの、開幕直後から打撃不振に陥ったロッテの藤岡裕大。5月21日のオリックス戦では走塁中に負傷交代し、診断結果は右大腿二頭筋肉離れ。全治4週間の見込みとされ、登録を抹消された。

打撃不振に加えて怪我で離脱。踏んだり蹴ったりの状態だったが、6月14日の中日戦で1軍に復帰すると、同日の試合でいきなりマルチ安打。守備でも瞬発力と強肩を生かした堅実なプレーを披露し、内野に安定感をもたらした。復帰後は9試合に出場して7試合で安打を放つなど打率.325と好調。シーズン序盤の打撃不振が嘘のように、コンスタントに安打を重ねている。

2019年の月別打撃成績

ⒸSPAIA


藤岡の不在時は、フィールディングに定評のある三木亮や昨季主に外野手として112試合に出場した平沢大河が遊撃手として先発したが、攻守共に首脳陣やファンを納得させるだけのプレーは見せられなかった。それだけに、藤岡の復調は大きい。6月14日に藤岡と田村龍弘が1軍に復帰して以降、広島戦とヤクルト戦で勝ち越すなどチームも徐々に勢いづいてきた。

高打率の要因は左方向への安打増加

復帰後に高打率を残している大きな要因に、左方向への安打増加が挙げられる。復帰後の9試合で13本の安打を記録しているが、そのうちの7本は左方向への安打だ。

特に5打数4安打と固め打ちを見せた6月20日の広島戦では、4安打全て左方向。球を引きつけてレフト前へ流し打つ打撃を幾度となく目にしたが、左方向へ打球を運ぶ意識がいかに強いかの表れだ。

6月23日のヤクルト戦では安打こそ出なかったものの、第3打席でレフトへ犠飛を放った。その際の打撃も球を引きつけてスムーズにバットが出ており、調子の良さがうかがえた。シーズン序盤では打席での余裕があまり感じられず色々なコース、球種に手を出して引っかけてしまう場面も目立ったが、今は球を最後までよく見ることができており、打席に立つ雰囲気にも期待感が持てるようになってきた。

ただ、現在は復調傾向とはいえ、ここまでの今季の通算打率は.253、出塁率は.289とレギュラーとしては物足りない。シーズン序盤でつまずいた分を取り戻す活躍が期待される。

今一度、積極的な走塁を

昨季、当時就任1年目だった井口資仁監督が「走塁革命」を掲げてチーム盗塁数が飛躍的に増加。荻野貴司、中村奨吾、藤岡らを中心に積極的な走塁でかき回し、7月終了時点ではソフトバンクと3位を争うなどパ・リーグの台風の目となりかけていた。最終的には失速しリーグ5位に終わったが、盗塁数はリーグ2位の124個を記録。機動力が武器のチームであることを印象づけた。

しかし、今季ここまでのチーム盗塁数はリーグ4位の50個にとどまっている。レアードの加入もあり、チーム本塁打はリーグ2位の89本と既に昨季の本塁打数を上回っているが、だからといって走る野球をおざなりにしていいほど打力のあるチームではない。

確かに昨季最大の課題は一発が打てないことで、現段階でそれが解消できているのは良いことだが、昨季意識づけを図って積み上げてきた走塁への高い意識が今季に引き継がれず、薄れている感は否めない。昨季39盗塁を記録した中村は、70試合が経過した時点で9盗塁、昨季14盗塁を記録した藤岡にいたっては今季わずか2盗塁と寂しい数字だ。

打線は水物。これからシーズン後半に向けてロッテが巻き返していくためには、少ない安打でも足を絡めながら1点ずつもぎ取っていく戦い方を今一度実践していくべきであり、そのキープレーヤーの一人が藤岡だ。「攻守」だけでなく「走」の部分の活躍も求めたいプレーヤーであり、走攻守全てでレベルアップを図ることが、不動のレギュラーの地位を確保することにつながるだろう。