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巨人育成の山下航汰が高卒1年目から好成績 ドラフト上位指名をしのぐ項目も 

2019 5/24 07:00勝田聡
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補強と育成のバランスが整いつつある

今シーズンの巨人はFAで補強した丸佳浩が期待通りの働きを見せ、開幕から首位争いを演じている。

丸のような大型補強による外様選手の活躍が多かった巨人。過去を振り返っても、清原和博や江藤智、小笠原道大にアレックス・ラミレスなど、他チームで結果を残した主力選手を獲得し、チームの補強を行っている。

また、そういった印象が強いため「育成を疎かにしている」「若手が育たない」といった声が多数あがったのも事実。しかし、ここ最近のチーム状況を見ると、大型補強だけに頼っているわけではなさそうだ。

主将の坂本勇人をはじめ、昨シーズン躍進を遂げた岡本和真といった生え抜き選手が主力として活躍。故障で離脱はしているが、「1番・二塁」で開幕スタメンを掴んだ吉川尚輝や、その穴埋めをしている山本泰寛もそうだ。

加えて、ベテランの亀井善行、小林誠司、大城卓三といった捕手陣も同様で、移籍の補強組だけではなく、ドラフトで獲得した選手たちも順調に戦力となっている。

安田尚憲らと遜色ない数字

現在、巨人にはファームで結果を残しつつある楽しみな選手がいる。昨年のドラフト会議で育成1位指名された山下航汰(健大高崎高校)だ。

育成契約の山下は、現段階で一軍出場はない。しかし、二軍では33試合に出場しており、規定打席には届いていないものの、打率.306、2本塁打、9打点と結果を残している。

山下航汰、中山翔太、安田尚憲の成績ⒸSPAIA

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2年目の安田尚憲(ロッテ)やルーキーの中山翔太(ヤクルト)の数値と比べても、大きな差はない。

山下の1学年上にあたる安田は、清宮幸太郎(日本ハム)と高校時代から比較され続けてきたことでもよく知られている。ルーキーイヤーは一軍で本塁打を放っており、期待の若手。今シーズンは一軍での出場機会は勝ち取れていないが、順調に成長していると言っていい。

また、ドラフトでは同期となる中山と山下だが、中山は法政大出身であり4学年上の存在。東京六大学では通算11本塁打を放っているスラッガー候補でもある。

三軍制を敷いている巨人では、育成選手や1年目の若手は三軍で実戦を積むことが通例となっている。打順の関係もあり打点こそ少ないが、高卒1年目で育成ドラフト出身の2選手と比べても遜色ない数字を残している山下。既に5月の時点で三軍のステップを超えていることからも、彼の凄さが伝わるだろう。

支配下枠は64人と6人の空き

現時点のチーム事情は上原浩治が現役引退したこともあり、巨人は支配下登録が64人。6人の空きがあることになる。言い換えると、7月31日の登録期限までに、最大7人が育成から支配下登録される可能性がある。

ここ数年、シーズン開幕後に育成選手を支配下登録している巨人。昨シーズンは4人(サムエル・アダメス、C.C.メルセデス、ホルヘ・マルティネス、松原聖弥)、2017年も4人(田中貴也、増田大輝、青山誠、篠原慎平)が支配下登録された。育成契約選手の支配下登録を積極的に行なっているようだ。

守備位置を見ると、山下はファームで両翼を守っている。一軍では丸、亀井、陽岱鋼、アレックス・ゲレーロといった選手が主に外野を守っているが、決して若手ではない。チームを見渡しても、一軍での起用が多い若い外野手は26歳の重信慎之介ぐらいだろう。将来のレギュラー候補として、山下が名乗りをあげてもおかしくない。

7月末までに山下は支配下契約を勝ち取ることができるだろうか。巨人の動向を見守りたい。

※数字は2019年5月22日終了時点