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史上最悪のFAやイチローを超えた男も 記憶に残る韓国出身メジャーリーガー

2020 1/19 06:00棗和貴
アジア人最高のMLB通算124勝を誇る朴賛浩(パク・チャンホ)とイチロー超えの44試合連続出塁を達成した秋信守(チュ・シンス)
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Ⓒゲッティイメージズ

韓国選手もFA市場で話題

レイズへの入団が決まった筒香嘉智やレッズの秋山翔吾など、日本人の話題が多い今オフのメジャーリーグだが、その一方でお隣の韓国もそれなりの注目を集めている。

その筆頭はドジャースからFAになった柳賢振(リュ・ヒョンジン)だろう。2019年シーズンに最優秀防御率のタイトルを獲得し(防御率2.32)、サイ・ヤング賞投票で2位につけた韓国人左腕は、4年88億円でブルージェイズと契約。総額では2013年に秋信守(チュ・シンス)がレンジャーズと結んだ7年142億2000万円には及ばなかったが、1年平均22億円は韓国人メジャーリーガー史上最高額での契約となった。

また、韓国のエースとして北京五輪の金メダル獲得に貢献し、かつて“日本キラー”と呼ばれた金広鉉(キム・グァンヒョン)もカージナルスと2年8億8000万円の契約を結んだ。

記憶に残る韓国出身メジャーリーガーたち

1994年に朴賛浩(パク・チャンホ)がドジャースでメジャーデビューして以来、2019年シーズンまでに25人の韓国出身選手がMLBでプレーした。現在、40人枠に登録されている現役の韓国人メジャーリーガーは前述の柳賢振、金広鉉、秋信守に、崔志萬(チェ・ジマン)を加えた4人。崔志萬はレイズに所属し、左バッターで主にDHや一塁を守ることから筒香とのレギュラー争いも予想される選手だ。

今回は、記憶に残る韓国出身のメジャーリーガーを数名紹介したい。

・朴賛浩(パク・チャンホ、投手)
韓国人初のメジャーリーガー。デビュー年は1994年で、日本のパイオニアである野茂英雄よりも1年早くMLBのマウンドに立った。ドジャース時代の1997年から2001年に5年連続で2桁勝利を挙げるも、大型契約で移籍したレンジャーズではまったく振るわず。期待が大きかったこともあり、いまでもアメリカのメディアで“史上最悪のFA”の一人として数えられることもしばしば。それでもMLB通算124勝はアジア人最高の成績である。

・金炳賢(キム・ビョンヒョン、投手)
1999年にメジャーデビューを果たしたリリーバー。アンダースローが特徴で、「コリアン・サブマリン」の異名を持つ。ダイヤモンドバックス時代の2001年にはアジア人で初めてワールドシリーズに出場。第4戦にサヨナラ被弾、第5戦には9回に同点弾を浴びるという悪夢を味わった。それでも、Dバックスは世界一となり、金炳賢もその2試合を除けば地区シリーズとリーグ優勝シリーズで4試合連続無失点と大きく貢献した。

・秋信守(チュ・シンス、外野手・DH)
レンジャーズに所属する左打ちの強打者。韓国プロ野球KBOを経ず、釜山の高校を卒業後の2000年にマリナーズと契約し、2005年にメジャーデビューを果たす。当時のマリナーズには全盛期のイチローが在籍しており、のちに秋信守は「ほとんど言葉を交わしたことがない。彼はすでに、スーパースターだった」と語っている。ただ、その後オールスターに出場するほどの選手に成長し、2018年には“イチロー超え”となる44試合連続出塁を達成した。

・ロブ・レフスナイダー(ユーティリティー)
レフスナイダーは韓国出身のメジャーリーガーのなかでユニークな存在である。生まれは韓国だが、生後5ヶ月でアメリカ人夫婦の養子となったのだ。学生時代には差別的な発言もたびたび言われたらしいが、彼にはそれを笑い流すだけの強さがあった。おそらく野球の才能に裏付けされた自信からくる強さだったのだろう。2015年にヤンキースでメジャーデビュー。現在はレンジャーズ傘下に籍を置き、春季キャンプでは招待選手としてメジャー昇格を目指す。