アメリカン・リーグ東地区に3人の日本人選手が集結
このオフ、アメリカン・リーグ東地区(以下、ア・リーグ東地区)が熱い。熱心なメジャーリーグファンでなくとも、ニュースを見聞きすることが多いのではないだろうか。筒香嘉智と山口俊がそれぞれア・リーグ東地区のレイズとブルージェイズに移籍。
また、田中将大の所属するヤンキースは、このオフ最大の目玉であったゲリット・コールを9年3億2400万ドル(約353億円/1ドル109円計算)という破格の契約で獲得した。年平均3600万ドル(約39.2億円/1ドル109円計算)と、これは投手における総額・年平均ともに史上最高額の契約でもあった。
2020年シーズン、ア・リーグ東地区の報道は日本でも増えることになるだろう。そんなア・リーグ東地区の5球団を紹介したい。
地区優勝のヤンキースはコールを獲得
2019年シーズンに地区優勝を飾ったのはニューヨーク・ヤンキースだった。田中が在籍していることもあり、日本での注目度は高い。MLBを代表するエース、コールが加わったことでローテーションがより強固となった。
また、田中に加えてジェームズ・パクストン、ルイス・セベリーノ、J.A.ハップの全員が2桁勝利経験者になったため、田中も先発ローテーションの2番手もしくは3番手になりそうだ。
中継ぎ陣はアロルディス・チャップマン、ザック・ブリトン、アダム・オッタビーノと、こちらも実績ある投手が名を連ね、野手にはアーロン・ジャッジ、ジャンカルロ・スタントンといった50本塁打経験者が2人在籍。2019年シーズンはスタントンがほとんど不在だったものの、チーム本塁打はチーム史上最多の306本を記録。これはツインズの307本に次ぐ歴代2位の数字でもある。
その他、2016年にナショナルリーグで首位打者を獲得したDJ.ルメイヒューが、移籍初年度だった2019年シーズンに打率.327、26本塁打、102打点の成績を残している。前年は少し数字を落とし気味だったが、移籍がきっかけとなったのか持ち直した。
このように投打ともに有力な選手が豊富に揃っているため、2020年シーズンも地区優勝候補ナンバーワンと言っていいだろう。
地区2位のレイズはキアマイヤーの守備に注目
地区2位だったのは筒香が加入するタンパベイ・レイズ。注目は中堅手のケビン・キアマイアーだ。2019年シーズンは打率.228(447打数102安打)と打撃面では苦しんだが、守備では2016年シーズン以来3年ぶりとなるゴールドグラブ賞を受賞。アメリカのデータサイトであるFANGRAPHSによると、守備指標の一つであるUZRは9.8と、中堅手の中ではリーグトップ。MLB全体でも3位の好成績となっている。
投手では、2018年シーズンにサイヤング賞を受賞したブレイク・スネルと2019年シーズンに16勝をマークしたチャーリー・モートンが中心。本来は中継ぎの投手を先発させるオープナー戦術を取ることも多い。
山口が加入するブルージェイズは地区4位だった。チームは若返りを進め、再建を目指している段階だ。現時点で、チームに在籍している先発投手で2019年シーズンに2桁勝利を達成した選手は、タナー・ロアークただ1人。先発投手陣が充実しているとは言えず、山口にも先発ローテーション入りの可能性は大いにある。
一方、野手ではブラディミール・ゲレーロ・ジュニアが大きく注目されている。若干20歳でメジャーデビューをはたし、123試合で15本塁打。オールスターゲームでは本塁打競争にも出場し準優勝を飾っている。父は、米国野球殿堂入りをはたしているブラディミール・ゲレーロだ。
その他、DeNAでプレーする可能性もあったルルデス・グリエル・ジュニアも在籍中。
【キアマイヤーの守備】
【ゲレーロ・ジュニアの打撃】
レッドソックスはチーム方針が変わり低予算路線へ
2018年のワールドチャンピオンであるボストン・レッドソックスは、2019年は勝ち越したものの地区3位に終わった。2020年は巻き返しを狙うことになるが、現時点でこのオフに大きな動きはない。
それどころか、2018年MVPのムーキー・ベッツにもトレードの噂が出ている。チームはこのオフから方針が大きく変わり、低予算路線へとかじを切っている。どのようなチーム作りをするのか注目が集まる。
2019年は54勝108敗という成績で地区最下位に終わったのがボルチモア・オリオールズだ。比較的若い選手が多く、予想されるスタメンは全員が20代。2019年シーズン、主軸のトレイ・マンシーニは27歳で、打率.291、35本塁打、97打点という結果を残した。一塁と両翼を守れるのが強みだが、まだ再建中。2020年シーズンの上位争いに加わることは、まだ難しそうだ。