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大谷翔平はメジャー8位タイの打球速度で松井秀喜を超えられるか

2019 7/9 07:00田村崇仁
14号2ランを放った大谷翔平Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

14本塁打でシーズン折り返し

米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平が打撃に専念する2年目のシーズンでも、着実に成長する技術とパワーでホームランを量産している。7月5日のアストロズ戦は「3番・指名打者」で出場し、通算214勝を誇る世界最高峰の右腕バーランダーから中越え13号ソロ本塁打。自らのバットで25歳の誕生日を祝うバースデーアーチを演出した。

米大リーグ機構(MLB)が導入するデータ解析システム「スタットキャスト」によると、打球速度108マイル(約173.8キロ)、打球角度32度、飛距離423フィート(約128.9メートル)、最高到達点124フィート(約37.8メートル)という圧巻の一発だった。

さらに同7日には左中間の看板に直撃する豪快な14号2ランを放ち、前半戦を締めくくった。

トミー・ジョン手術の影響なし

今季の大谷の平均打球速度は7月7日現在、94.4マイル(約151.9キロ)で、屈強な肉体の強打者がそろうメジャー全体でも8位タイとトップクラス。ちなみに首位は2017年ア・リーグ新人王でヤンキースの「怪物」アーロン・ジャッジ外野手の97.6マイル(約157キロ)だ。バットがしなるような鋭いスイングスピードで、メジャー屈指の投手陣にパワーでも十分に対抗している証明でもある。

MLB打者のスタットキャストⒸSPAIA

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昨季の打球速度は93.3マイル(約150キロ)。数字の上でも成長しており、昨年10月の右肘内側側副靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)から復帰したシーズンで、大きな影響を感じさせない強打を見せている。

成長証明したバーランダーからの一発

昨年9月以来となった剛腕バーランダーとの対決はまさに力と力の勝負だった。

1打席目はカーブにタイミングが合わずに空振り三振を喫したが、三回の2打席目にリベンジ。高めの94.9マイル(約152.7キロ)直球をジャストミートすると、打球はグングン伸びて、センター最深部のフェンスを越えていった。

昨年5月の初対決では4打席で3三振と歯が立たなかった。「野球人生で最も品がある球」と脱帽してから約1年。多くの打席を重ね、成長を実感できた一発でもあった。

最高到達点16.5メートルの低弾道3ラン

今季の大谷は6月13日、敵地レイズ戦で日本人初のサイクル安打も達成した。その幕開けとなるメジャー通算30号の先制3ランが驚異的な打球だったとメジャーでも称賛された。左中間に飛んだライナーは打球角度19度、圧巻の低弾道でスタンドに突き刺さった。

スタットキャストによると、打球速度111マイル(約178.6キロ)、飛距離は414フィート(約126.1メートル)で、わずか54フィート(約16.5メートル)の高さまでしか上がらない滞空時間の短い弾丸ライナー弾だった。

打球角度は12.5度→2.6度

MLBでは、2015年に走攻守で多種多様なデータ計測が可能な「スタットキャスト」が全30球団の本拠地に設置された。打球の速度や角度も数値化され、データに基づいて角度をつけた飛球を打つ「フライボール革命」が浸透。昨季はレギュラーシーズンの本塁打総数が6105を数え、それまでの最多記録を400以上も上回った。

MLB公式サイトによると、初速98マイル(約158キロ)以上で角度が26~30度の打球が最も長打になりやすいとも判明。17年にアストロズがこのデータを活用して本塁打を量産し、ワールドシリーズを制して注目された。

本塁打量産で打率も3割台に乗せた大谷だが、本人も自覚しているのは打球の角度。昨季の打球の角度は平均12.5度だった。それが今季は7月7日現在で平均2.6度。1ミリ単位の世界だが、球の上をたたいてゴロになればアウトになる確率も高くなる。打球の角度がついてくればさらに本塁打も増えていきそうだ。

昨季より14試合早く10号到達

右肘手術で初出場が5月7日と出遅れた中、今季の大谷は44試合目で10号到達。22本塁打を放った昨季の58試合目より14試合早い。

2年連続の2桁本塁打に続き、打率も3割台に乗せて広角に打ち分ける打撃が復活している。好調の要因はストライクゾーンの見極めで、外角は逆方向へ、内角は引っ張って右へと、コースに逆らわない打撃はイチローも認めた天性のセンスがなせる技でもある。

課題とする角度をつけた打球は意識して打つものでなく、紙一重の勝負という。2004年にヤンキースの松井秀喜が記録した日本選手最多の31本塁打の更新に期待が膨らむ。