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天覧試合から60年…ヤンキース・田中将大が英国王室の前で名誉の先発へ

2019 6/26 11:00SPAIA編集部
ロンドンでのレッドソックス戦に先発する田中将大Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

6月29日、ロンドンスタジアムでレッドソックス戦

ヤンキース・田中将大が6月29日(日本時間30日)にイギリス・ロンドンで行われるレッドソックス戦に先発する。6回8安打2失点だった前回22日(同23日)のアストロズ戦から中6日。今季6勝目をかけて、初めてヨーロッパで開催されるメジャーリーグ公式戦の先発マウンドに立つことになった。

会場はロンドンオリンピックのメイン会場だったロンドンスタジアム。5万5000人収容可能で、普段はサッカー・プレミアリーグの名門、ウエストハムのホームグラウンドとして使用されている。サッカー専門ではなく陸上トラックも併設されており、今回はそこにベースやバックスクリーンを設置し、仮設野球場に改装。29、30日に開催されるレッドソックス―ヤンキース2連戦の初戦に出番が巡ってきた。

しかも、当日は英国王室のヘンリー王子が来場すると報じられており、田中にとってはこれ以上ない大舞台となる。

海外戦略加速させるMLB

近年のメジャーリーグは海外拡大戦略を加速させている。今年3月にはイチローの引退試合となったアスレチックス―マリナーズの開幕2連戦を東京ドームで行い、4月にはメキシコでレッズ―カージナルスを開催。過去にはプエルトリコやオーストラリアで開催したこともある。そして、ついにヨーロッパ初開催となるロンドンでの2連戦を迎えることになった。

イギリスは野球不毛の地と思われるかも知れないが、意外に歴史は古い。19世紀にアメリカから伝わったとされ、イギリス代表チームは1938年の第1回ワールドカップでアメリカ代表を4勝1敗で破って優勝したという記録が残っている。

第二次世界大戦後、サッカーなどに押されて衰退するが、2017ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)予選にも出場するなど、今でも代表チームが結成されている。野球の原型と言われるクリケット発祥の地だけに、素地はあるのかも知れない。

チケットも好調、今後はヨーロッパ開催増える?

イギリスはフーリガンに代表されるようにスポーツに熱狂的な土地柄で、チケットの売れ行きも好調の模様。5月に第一子を出産したばかりメーガン妃は産休中と見られるが、当日、ヘンリー王子が来場となれば、まさに国を挙げての一大イベントだ。

米四大スポーツの中ではアメフトのNFLとバスケットのNBAもロンドンでの試合開催を成功させているだけに、今後はMLBがイギリスを含めたヨーロッパでの開催を増やす可能性も十分にあるだろう。

イギリスのスポーツ界にとっても歴史的一戦

そんな歴史的一戦に先発することは田中にとっても、この上ない名誉。ヤンキースに移籍した2014年からここまでメジャー通算69勝、高校時代から楽天時代を含めてあらゆる栄光を極めてきた田中の野球人生でも、最も大きなトピックスのひとつになるだろう。

奇しくも1959年6月25日、後楽園球場で巨人・長嶋茂雄が阪神・村山実からサヨナラホームランを放った初の天覧試合からちょうど60年。日本プロ野球隆盛のきっかけになったと言われる伝説の試合から29年後の1988年に生まれた田中が、もしかしたらイギリスの野球発展のきっかけになるかも知れないロンドンのマウンドに立つ。

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