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野茂、佐々木、黒田……平成を彩った日本人メジャーリーガー投手の記録

2019 4/3 07:00青木スラッガー
Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

これまで44人の日本人投手がメジャーデビュー

平成の30年間にあった野球界の変化といえば、日本人選手のメジャー進出だろう。特に投手については一時を皮切りに、NPBで実力をつけた選手が次々と海を渡るようになった。

日本人初のメジャーリーガーは、1964年にサンフランシスコ・ジャイアンツでデビューした村上雅則投手。野球留学からの昇格という形でメジャーデビューを果たし、勝ち星も5つ挙げた。しかし、その後のメジャー挑戦は30年以上遠ざかり、その壁を破ったのが野茂英雄だった。喧嘩別れのような形で近鉄を退団し、言葉は乱暴かもしれないが「強引」に渡米して日本人選手にメジャー挑戦への道を切り開いた。

野茂から今季の菊池雄星まで、実に44名の投手がメジャーデビューを果たし、現在も8名の投手がメジャー球団に所属している。その功績を通算成績から振り返ってみたい。

先発投手の記録 勝利数トップは野茂英雄の123勝

勝利

まずは先発投手の記録から見ていきたい。勝利数が唯一の100勝超えとなったのは、野茂の123勝。続いて、7年プレーした黒田博樹が79勝。その黒田を超えるハイペースで、メジャーデビューから5年目終了までに64勝した田中将大は、日本人初となる5年連続2桁勝利となった。

投球回

投球回は1000に届いたのが野茂、黒田、大家友和の3人。大家はNPBでの実績が薄い段階からの渡米となったが、メジャーで先発として開花し、2002・2003年には2年連続で2桁勝利をマークしている。

奪三振

奪三振で際立っているのはダルビッシュで、2年目には277奪三振でア・リーグのタイトルを獲得し、3度のシーズン200奪三振を達成している。野茂は、あと少しのところで2000個に届かなかった。

リリーフ記録 最多登板は長谷川滋利の517登板

ホールド

ホールド数では、NPBを経由せず社会人から直接メジャー挑戦した田澤純一がトップ。メジャーデビュー当時は先発として期待されていたが、手術を経てリリーフに転向し、セットアッパーとしてメジャー定着を果たした。

2013年は上原浩治とともに、ワールドチャンピオンに立ったレッドソックスの勝ちパターン継投を務めている。

岡島秀樹もレッドソックスでセットアッパーとして2007年のワールドチャンピオンに貢献し、5年で84個ものホールドを挙げた。昨季デビューした平野佳寿は、いきなりの32ホールド。これは2004年大塚晶則の34ホールドに次ぐ、日本人歴代2位の記録だった。

セーブ

セーブのトップは129セーブの佐々木主浩。2000年のデビューから3年連続30セーブ以上を挙げ、日本人唯一の100セーブを3年で達成している。

2位の上原はセットアッパーとして活躍していたところ、レッドソックス時代の2013年途中に好投が認められクローザーへ昇格。3年間はクローザーを務めた。


斎藤隆も、デビューからの3年間はクローザーを任された。

登板

登板数では、517登板の長谷川滋利がトップに立った。デビューからの9年、全て40登板以上。60登板以上は5回と、リリーフで最もタフに投げぬいた日本人投手といえる。

防御率トップは岩隈久志

最後に防御率など、指標として求める記録も見ていきたい。先発メインの投手は400投球回以上、リリーフメインの投手は200投球回以上を対象とした。

防御率

先発投手の防御率は岩隈久志、黒田、ダルビッシュが3.50以下。ダルビッシュと田中は、同程度の投球回数。勝ち星は田中が多いが、ダルビッシュの方が防御率はやや優秀だった。今季4年目を迎える前田健太は、これまでで3.80となっている。

奪三振率

先発投手の奪三振率は、11.04と抜けた数字を残しているダルビッシュ。続くのが9.76の前田。先発としてはローテーションに定着できない年が続ている前田だが、三振を奪う能力に関しては野茂よりも高いものを発揮している。

リリーフでは上原浩治、斎藤隆、佐々木主浩と強力な決め球を持つ投手が上位に入った。

WHIP

「1投球回あたり何人の走者を出したか」を表す「WHIP」は、田中が先発として最も優秀。

上原の0.89はメジャー全体の中でもトップクラスで、クローザーとしてチームをワールドチャンピオンに導いたレッドソックス時代の2013年はシーズンWHIP0.57という驚異的な数字もたたき出した。

K/BB

上原は「K/BB」でも圧倒的な数字を残している。これは奪三振数と与四球数の比率を求めることで、制球力を評価する指標。

5を超えれば優秀というところだが、上原は通算で7.33。メジャーでも抜群の制球力は変わらなかった。

(成績は2019年3月31日時点)