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立命館宇治のエース高木要は星稜の奥川恭伸に投げ勝つことができるか?1回戦から見えたものは?

2019 8/12 17:00三木俊幸
イメージ画像ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ストレートの平均球速は130.3km

セットポジションからポーカーフェイスで淡々と投げ込む。それが立命館宇治のエース、高木要の投球スタイルだ。先日行われた秋田中央との一戦では1-0で勝利し、星稜の奥川恭伸に続いて2人目となる完封をやってのけた。奇しくも8月13日(火)の2回戦では、その星稜と対戦する高木のピッチングスタイルについて分析していこう。

高木要投手の1回戦投球成績ⒸSPAIA

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投球内容を振り返ると、9回を投げ、投じた球数は121球。与四球こそ5個あったものの、被安打3、奪三振7と見事なピッチングだった。

高木要投手の球種別割合ⒸSPAIA

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しかしストレートの平均球速は130.3km、スライダーの平均球速は112.5km、140kmを投げるのが当たり前となっている現代の高校野球において、この数字はむしろ遅い部類に入る。

スライダーのコントロールが抜群

では、なぜ高木は完封勝利を収めることができたのか、本当のすごさを表しているのは低めへのコントロールの精度の高さである。

高木要投手の全球分布図ⒸSPAIA

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全投球のコースを目視で確認した分布図では、一見するとストライクゾーンへの投球は59球で全体の49%と制球力が悪いようにも見えるが、トータルでは右打者のインコース低め、左打者に対してはアウトコース低めにあたるコースが13球と最も多く、低めへのコントロールがしっかりとできていることが見てとれる。

また低めのボールゾーンへの投球数も多くなっているが、これらの多くはストライクからボールになる絶妙なゾーンへの投球によるものだった。

高木要投手のスライダー分布図ⒸSPAIA

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実際にスライダーの投球分布図を見ると、低めへの投球が大半を占めており、ボールゾーンへの投球でも打者が振ってしまうケースが多く見られていた。それこそが高木が130kmのストレートでも相手打者をほんろうすることができる最大の特徴である。高校生としてはかなり高い投球術を兼ね備えていると言っても過言ではないだろう。

高木要投手の1回戦投球成績ⒸSPAIA

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スライダーへの意識が高くなるからこそ、ストレートに詰まらされ相手打者はフライを打ち上げてしまう。秋田中央戦では、4回までの12個のアウトのうち、5つがフライアウトとなっており、その投球は完璧なものだった。

高木要投手の1回戦の全投球と球速と球種ⒸSPAIA

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しかし課題があるとすれば、ストレートの制球力だろう。本来であれば、この試合は100球程度で終えられた試合だったと感じた。

しかし7回、8回には力みがあったのかストレートのコントロールが定まらずボールを連発。そして配球にも偏りが出ていた。

強力打線の星稜を相手に戦うには失投は禁物である。スライダーとのコンビネーションをうまく駆使し、いかにストレートを低めに集められるか。これができれば、星稜の奥川相手にも投げ勝つことができるのではないだろうか。