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選抜高校野球の歴代21世紀枠出場校成績、「不要論」か「存在意義」か

2023 1/26 11:00SPAIA編集部
甲子園球場,Ⓒtak36lll/Shutterstock.com
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Ⓒtak36lll/Shutterstock.com

27日の選考委員会で出場校決定

第95回選抜高校野球大会の出場校が1月27日に開かれる選考委員会で決定する。95回目の記念大会として行われる今大会は例年より4校多い36校を選出。出場枠は北海道1校、東北3校(+1)、関東・東京7校(+1)、東海3校(+1)、北信越2校、近畿6校、中四国6校(+1)、九州4校、21世紀枠3校、神宮大会枠1校(近畿)となっている。

困難な状況の克服や地域貢献などを加味して選出される21世紀枠は、すでに9校の候補校が下記の通り発表されている。

【北海道】稚内大谷
【東北】由利(秋田)
【関東・東京】石橋(栃木)
【東海】木本(三重)
【北信越】氷見(富山)
【近畿】小野(兵庫)
【中国】神辺旭(広島)
【四国】城東(徳島)
【九州】高鍋(宮崎)

いずれの学校も吉報が届くかどうか気を揉む日々を過ごしてきただろう。この中から選ばれし3校が憧れの甲子園でプレーできるのだ。

58校中44校が初戦敗退

21世紀枠が導入された2001年以降の歴代出場校と甲子園での成績は以下の通り。

2001年 安積(福島) 初戦敗退
    宜野座(沖縄) ベスト4
2002年 鵡川(北海道)2回戦
    松江北(島根) 初戦敗退
2003年 柏崎(新潟) 初戦敗退
    隠岐(島根) 初戦敗退
2004年 一関一(岩手) 初戦敗退
    八幡浜(愛媛) 初戦敗退
2005年 一追商(宮城) 2回戦
    高松(香川) 初戦敗退
2006年 真岡工(栃木) 初戦敗退
    金沢桜丘(石川) 初戦敗退
2007年 都留(山梨) 初戦敗退
    都城泉ヶ丘(宮崎) 2回戦
2008年 安房(千葉) 2回戦
    成章(愛知) 2回戦
    華陵(山口) 3回戦
2009年 利府(宮城) ベスト4
    彦根東(滋賀) 初戦敗退
    大分上野丘(大分) 初戦敗退
2010年 山形中央(山形) 初戦敗退
    向陽(和歌山)2回戦
    川島(徳島) 初戦敗退
2011年 大館鳳鳴(秋田) 初戦敗退
    佐渡(新潟) 初戦敗退
    城南(徳島) 2回戦
2012年 女満別(北海道)初戦敗退
    石巻工(宮城) 初戦敗退
    洲本(兵庫) 初戦敗退
2013年 遠軽(北海道)2回戦
    いわき海星(福島) 初戦敗退
    益田翔陽(島根) 初戦敗退
    土佐(高知) 初戦敗退
2014年 小山台(東京) 初戦敗退
    海南(和歌山)初戦敗退
    大島(鹿児島)初戦敗退
2015年 豊橋工(愛知) 初戦敗退
    桐蔭(和歌山)初戦敗退
    松山東(愛媛) 2回戦
2016年 釜石(岩手) 2回戦
    長田(兵庫) 初戦敗退
    小豆島(香川) 初戦敗退
2017年 不来方(岩手) 初戦敗退
    多治見(岐阜) 初戦敗退
    中村(高知) 初戦敗退
2018年 由利工(秋田) 初戦敗退
    膳所(滋賀) 初戦敗退
    伊万里(佐賀) 初戦敗退
2019年 石岡一(茨城) 初戦敗退
    富岡西(徳島) 初戦敗退
    熊本西(熊本) 初戦敗退
2020年 帯広農(北海道)大会中止
    磐城(福島) 大会中止
    平田(島根) 大会中止
2021年 八戸西(青森) 初戦敗退
    三島南(静岡) 初戦敗退
    東播磨(兵庫) 初戦敗退
    具志川商(沖縄) 2回戦
2022年 只見(福島) 初戦敗退
    丹生(福井) 初戦敗退
    大分舞鶴(大分) 初戦敗退

いきなり宜野座が準決勝まで進出して旋風を巻き起こしたが、やはり初戦敗退が多い。選ばれた全61校から新型コロナ感染拡大で大会中止となった2020年の3校を除く58校のうち、44校が初戦敗退。最高成績は先述した2001年の宜野座と2009年の利府(宮城)のベスト4だ。

「21世紀枠不要論」が囁かれるのも、この成績によるところが大きいだろう。あいまいな選考基準とともに、勝てない高校をなぜ選ぶ?という言い分だ。

21世紀枠で選ばれる条件は、前年の秋季都道府県大会ベスト16以上、参加129校以上の都道府県はベスト32以上。その中から他校の模範となるような学校が選出される。つまり秋季大会の結果から判断できる実力だけで言えば、他校より「格下」と見られる高校が選ばれても仕方ないのが実状だ。

過去には大差で敗れ去った21世紀枠出場校もあり、そのたびに「不要論」が過熱する。よりハイレベルな熱戦を堪能したいというファンの気持ちは理解できる。

ただ、プロではなく、高校野球が教育の一環であるならば、ハンデを乗り越えたり、地域に貢献したりしながら野球に打ち込んでいる学校にスポットライトを当てる意義は小さくない。他校が真似して模範となるような学校が増えれば、それこそ21世紀枠の存在価値と言える。

お互いに多様性を認め合い、野球を愛する球児同士の戦いに嘘はない。95回目のセンバツは3月10日に組み合わせ抽選が行われ、3月18日に開幕する。

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