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箱根駅伝を走る「名門校」筑波、早稲田、中央の行方は?

2020 1/1 06:00鰐淵恭市
イメージ画像ⒸPavel1964/Shutterstock.com
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2020年、第96回箱根駅伝

令和になって初めて行われる第96回東京箱根間往復駅伝競走は1月2、3日に行われる。連覇を目指す東海大、2年ぶりの優勝を狙う青山学院大のほか、東洋大、駒沢大、国学院大を加えた「5強」の争いと言われているが、優勝争いだけでなく、歴史のある名門校の活躍も気になるところ。オリンピックイヤーの幕開けにふさわしいドラマチックなレースとなるか。注目の名門校を紹介する。

第1回優勝「いだてん」母校の筑波が26年ぶり出場

第1回大会の優勝校が26年ぶりに箱根に帰ってくる。東京高等師範学校を前身とする国立大の筑波大だ。10月に行われた箱根駅伝の予選会では6位で出場権を勝ち取った。前回の17位から一気に飛躍した。

長らく低迷期が続いていたが、2011年から大学をあげて力を入れ始めた。「箱根駅伝復活プロジェクト」を発足し、クロスカントリーコースなどを整備した。15年には、大学OBの弘山勉氏が監督に就任。弘山氏は実業団の資生堂の元監督で、妻の晴美さんを五輪選手に育てた指導者でもある。私立大に比べて少ない活動資金を補うため、クラウドファンディングで寄付を募り、強化費や治療費に充ててきた。

筑波大は箱根駅伝をつくった日本マラソンの父・金栗四三氏の母校でもある。9月には金栗氏の郷里・熊本県玉名市で合宿を行い、墓参りもした。金栗氏の足跡をたどり、箱根の伝統も実感した。

突出した選手はいないが、弘山監督の目標は高い。「久しぶりに出るだけではつまらない。(10位以内となる)シード権を狙いたい」。

優勝13回の早稲田は全日本で手応え

優勝回数13回、出場回数89回はいずれも歴代2位。輝かしい伝統を持つ早稲田大だが、2018年度は苦しんだ。出雲10位、全日本15位、箱根12位。箱根でシード権を落とすのは13年ぶりのことだった。

そして、今年10月の箱根予選会の結果も衝撃的だった。上位で予選を通過するとみられていたが、蓋を開けてみれば9位(10位までが予選を通過)。予選会の8日後にある全日本をにらみ、一部主力を走らせなかったとはいえ、予想外の結果だった。

だが、ポテンシャルはある。その力を示したのは、11月の全日本。1区で16位と出遅れたものの、一時は4位まで順位をあげ、最終的には6位で翌年のシード権を獲得した。箱根に向けて、視界が開けてきた。

チームの主力は2年連続で2区を走っている主将の太田智樹(4年)。箱根の予選会ではチームトップの16位に入った。全日本で7区を走った新迫志希(4年)は世羅高時代に名をはせた。中谷雄飛(2年)、井川龍人(1年)も世代を代表するランナーだ。エンジのたすきをつなぐ早稲田大が、2年ぶりのシード権を獲得する力は十分にある。

最多優勝の中央は8大会ぶりシード権狙う

14回の優勝回数と、93回の出場は歴代トップ。名門の中の名門とも言える中央大だが、近年は苦戦が続いている。1桁順位に入ったのは8大会前の88回大会の8位が最後。3大会前には本戦の出場を逃した。前回大会も11位で、2019年度は3大駅伝のうち、出雲と全日本には出場できなかった。

10月の箱根予選会でも苦しんだ。上位通過が予想されていたが、まさかの10位での通過。予選突破の中では最下位だった。次点となった麗澤大との差はわずか26秒。首の皮一枚で本戦出場となった。選手の中には涙を流すものもいた。

チームを率いるのは藤原正和監督。世界選手権のマラソン代表にもなった経験を持つ名ランナーだ。名門の復活を託され、今季で就任4年目となる。

突出したエースはいないが、エントリーメンバー16人中11人が、1万メートルを29分30秒以内で走れるなど、粒はそろっている。その中ででも、カギを握るのは山上りの5区が予想される畝拓夢(3年)だ。倉敷高時代に高校駅伝優勝経験を持つ。タイム差が出やすい5区で力を出し切れば、8大会ぶりのシード権獲得も見えてくる。

白のユニホームに赤字の「C」がトレードマークの中央大。オールドファンたちは、名門校の復活を楽しみにしている。