「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

駒大、青学大を脅かすのは?箱根駅伝の逆転候補、カギは「ゲームチェンジャー」

2021 12/28 06:00鰐淵恭市
順天堂大学の三浦龍司,Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

ゲームチェンジャーがいる東京国際大、創価大

2022年の第98回箱根駅伝は、連覇を狙う駒大、2年ぶりの優勝を狙う青学大が優勝候補だが、勝負事に「絶対」はあり得ない。この2校を脅かす存在はどこか。

駅伝は単純に選手の持ちタイムを足した通りの順位にはならない。追いかけるチームはオーバーペースになり、本来の力を出せずに終わることが多々あるからだ。そういう意味で、レース展開を一変させる「ゲームチェンジャー」がいるチームは能力以上の結果を出す可能性がある。

そして、そのゲームチャンジャーは強力な外国人留学生になる。今回で言えば、東京国際大のイエゴン・ヴィンセント、創価大のフィリップ・ムルワになるだろう。

1年生の時に3区(21.4キロ)、2年次に2区(23.1キロ)でともに区間新をマークし、歴代最強留学生とも言われる3年生のヴィンセントは今年も2区での起用が濃厚だろう。2区でトップに立ち、後続との差も大きく広げられるようなら、有力校の焦りにつなげられる。選手たちもこの展開を予想して、単独走で力を出せる練習をしているだろう。

ヴィンセントで得た差をさらに広げるため、3区には日本人エースの丹所健が濃厚。丹所も「(ヴィンセントは)やっぱりトップで来ると思うので。自分で決めたペースを守って、その区間では日本人最高記録を目指して、チームに勢いをつける走りができればいいと思います」と語っている。

前回は10区(23.0キロ)終盤までトップを守り、初優勝まであと一歩だった創価大。ムルワを2大会続けて2区で起用するだろう。前回はムルワで2位に順位を上げ、その後の展開を有利に進めた。

今大会は前回のメンバーが5人も残る。特に前々回に10区で区間新をマークし、前回は4区(20.9キロ)でチームを首位に押し上げた嶋津雄大が往路に起用されれば、2大会連続の往路優勝も狙える。

東洋大は全日本からの巻き返しなるか

気になるのが、過去10大会で優勝2度、4位以下になったことが1度しかない東洋大だ。

全日本大学駅伝では10位となり、14大会ぶりにシード権を逃した。主将でアンカーの宮下隼人はゴール後、号泣していた。「今までたすきをつないできた先輩、それから来年は予選会からになる下級生に申し訳ないという気持ちで、ショックが大きかったです」と語る。

宮下は箱根で巻き返しを図るため、朝練習の開始時間を1時間半早め、午前4時から練習するようにした。その姿を見て、チームメートも続くようになったという。宮下自身は得意とする山上りの5区(20.8キロ)で起用されるだろう。「(宮下が持つ)区間記録の更新は最低限したいと思っています」と意気込む。

東洋大には箱根で巻き返しを図るためのキーマンがもう1人いる。ルーキーの石田洸介だ。

5000メートルの高校記録(当時)保持者として入学した石田はその期待通りの走りを見せている。出雲は5区(6.4キロ)、全日本は4区(11.8キロ)と連続で区間賞を獲得した。ルーキーながら、箱根で3大会連続の区間賞が期待されるが、石田は「区間賞にはこだわらない」と冷静なコメント。その走りが鉄紺のたすきを救う。

順大は三浦龍司の走りで上位を脅かす

83回大会を最後に優勝から遠ざかっている順大の走りにも注目したい。全日本では3位に入った。3位以内になるのは20年ぶりのことだった。

なんと言っても、東京五輪3000メートル障害で7位入賞を果たした三浦龍司の存在が大きい。全日本でも2区(11.1キロ)で区間賞を獲得した。

前回の箱根は1区(21.3キロ)で区間10位とふるわなかった。今回は同じ1区か、エースの2区での起用が濃厚だ。いずれにせよ、レース序盤を走ることになるだろう。優勝候補の駒大、青学大を慌てさせるほどの差をつけられれば、レース全体が盛り上がる。

【関連記事】
箱根駅伝は一騎打ち?優勝候補、駒大と青学大のキーマン
歴代最強は誰だ?箱根駅伝の外国人留学生列伝、1チーム1人になった理由
箱根駅伝の出身高校ランキング、消えた兵庫の名門2校、トップは学法石川