「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

先輩岡本、池山に続け!ヤクルト廣岡高卒4年目の覚醒なるか

2019 2/16 07:00勝田聡
ⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

練習試合で1試合7打点と大暴れ

二人の先輩をほうふつとさせるような豪快な一発を放ったのは、今シーズン高卒4年目を迎える廣岡大志(ヤクルト)だった。

今キャンプで2試合目となった起亜タイガース(韓国)との練習試合。慣れ親しんだ本来の遊撃ではなく、一塁でスタメン出場を果たした。昨シーズンの廣岡は遊撃手として開幕スタメンに名を連ねていたものの、結果を残すことができず。その後を任された西浦直亨がチャンスをモノにし、規定打席にも到達。プチブレイクを果たした。西浦は今キャンプでは主将を任されており、現時点ではレギュラー候補筆頭となっている。

「レギュラーを奪うよりもまず、争いに参加するためには打撃で結果を残すしかない」そう考えたのかどうかは分からないが、2打席連続本塁打で計7打点とういう結果を出した廣岡。練習試合ということもあるが、これは本人にとって大きな自信となり、小川淳司監督ら首脳陣に向けても強烈なアピールとなったことは間違いない。

高校の先輩・岡本和真

2015年ドラフト2位で智辯学園高校からヤクルトへ入団した廣岡。高校時代の先輩には1学年上の岡本和真(巨人)がいる。

その岡本は2014年ドラフト1位で巨人へ入団。期待されていたものの、2017年までの3年間で出場したのはわずか35試合。本塁打も1本と苦しんでいた。しかし、4年目となった昨シーズンはオープン戦で結果を残すと、開幕スタメンを奪取。

その後は4番を任されるようになり、3割、30本塁打、100打点を達成。シーズンオフには、日本代表に選ばれるほどの存在となった。今まで燻っていたのがうそのような、大ブレイクを果たしている。

常々、岡本のことを「尊敬する先輩」と語っている廣岡。プロ野球選手としてはライバルだが、お手本であり尊敬する先輩の活躍が大きな刺激になったことは間違いないだろう。

背番号「36」の大先輩・池山隆寛

廣岡は入団以来、背番号「36」を背負っている。ヤクルトの背番号「36」で遊撃手、大砲候補……。そう、「ブンブン丸」の愛称で親しまれた池山隆寛が背番号「1」となる前まで、入団から背負い続けていた番号である。

大型遊撃手にしてスラッガーだった池山。5年連続30本塁打を記録する一方で三振も多く、3度の最多三振を記録した。本塁打か空振りか、そんな表現がぴったりだったフルスイング。通算304本塁打は球団トップの数字でもある。

そんな池山は、1983年ドラフト2位で市立尼崎高校からヤクルトへ入団する。1年目から試合に出場していたが、開花したのは高卒4年目の1987年だった。127試合に出場し初めて規定打席に到達すると、これまた初めての2桁本塁打(13本)を記録。翌年からは5年連続30本塁打をマークしており、まさに4年目が分水嶺となったのである。

アキレス腱痛もあり、現役終盤に苦しんだのは事実。それでもボロボロになるまでグラウンドに立ち続け、現役最後の試合でも代名詞であるフルスイングを見せた。

苦労してレギュラーをつかんで活躍し、球団を代表する選手となった池山。記録だけでなく、多くのファンの記憶に残っているのは、その人間らしい姿に応援したくなる要素がたくさん詰まっていたからかもしれない。

智辯学園高校の先輩である岡本、背番号「36」の先輩でもある池山と同じく、高卒4年目となる今年、ブレイクを予感させる兆しがある廣岡。少し気は早いが、日本代表入りと背番号「1」の後継者候補として名乗りを上げるためにも、今シーズンは試金石となる。

覚醒したその先には、ファンに愛される選手として、記憶に残る選手となることがファンにとって最大の喜びだ。